※この話は、フィクションのようなものです。
朝、14番のニンフを5個巻いた。すごいやる気だ。
この地域で一番透明度の高いSTNリバーに行くのだ。
こんなにやる気を出してフライフィッシングに行くのはいつぶりだろう?
朝起きて、PAK'n SAVEで買った、安いコーヒーを落とすと、部屋の中が酸味の強いコーヒーの香で満たされた。
机に座り、もう20年も使っているバイスにフックを固定して、マテリアルの箱を引っ張り出した。
マテリアルはどれも年老いて艶がなくなっていた。
バイスだって、もうミッジフックは固定できないだろう。
ジョーの先端がすり減って、小さなフックは固定できないのだ。
でも構わない。どうせ、小さなフックなんか見えないし、糸を結ぶのだって一苦労なんだから。
STNリバーでは、15年位前に河口近くで一匹かけてばらした記憶がある。
ここの魚はホームリバーのGNGRリバーのそれより一回り大きい。
その鱒を釣るために、数日前から準備した。
5本のフライが巻き終わると、コーヒーはすっかり冷めきっていた。
いつもなら、フライなんか巻かず、残り物のフライだけで出かけることにしただろう。
そう。今日の俺はやる気なのだ。
冷えたコーヒーで焼いてもいない食パンを胃袋に流し込み、ロッドとリール、巻いたばかりのフライの入ったフライボックスをベストのポケットに押し込んで後部座席に放り込み、ランドクルーザーのエンジンをかけた。
アイドリングなんかせずに走り出したのは、なにもガソリンエンジンのランクルの燃費が悪いからじゃない。
今日はやる気満々だからだ。
OKTの町中に近いSTNリバーウォークウェイという看板のところから川に入った。
2か月くらい前に彼女と下見に来たところだ。
天気は快晴。
ここはGNGRリバーより滑らない。
川が思ったより浅く簡単に渡れる。
いい感じだ。
しかし、少し濁ってる気がしてニンフを投げるも、必ずといっていいほど藻付きで帰ってくる。
ニンフがリーチに変身するのだ。ガハハ
浅い川なので魚がいればわかる気がした。いいところたたいて釣り上がること2時間、ようやく魚を一匹発見。
でも向こうがこちらを先に発見。さらに一時間頑張って上がっていったけど何もいない。
かなり疲れたので引き返した。
一時間かけてようやく車に到着。まあ、こんなものかなと納得しながら撤収作業。
するとそこへニコニコした麦わら帽子の地元のおじちゃんが寄ってきた。
どうだった?
と聞かれる。
一匹だけ見ただけで釣れなかったよ。STNリバーは難しいね。と笑いながら答える。
そしたらおじちゃんはこう言った。
『この川はSTNリバーじゃないよ。STNリバーは200mくらい向こうの別の川だよ、この川はただの小川だよ。』
ガビーン!
大ショック。
笑った笑った。STNリバーウォークウェイって書いてありますけど、と言うと、ここから隣のSTNリバーまでつながってる歩道とのこと。ガハハ
おじちゃんにも勘違いを笑ってもらえて面白かった。
手書きで地図とアクセス場所を書いてもらった。
おじちゃんはニコニコ帰って行った。
こんな勘違いは初めてだ。ガハハ。
でも、おじちゃんに会えてよかった。おじちゃんに会わなかったら勘違いしたまま終了。
ということで、明日こそは本物のSTNリバーを釣ることにする。
今日はもう飲み始めてて、明日早起きして行く(つもり)。
STNジャナイ川。